【BiViキャン】第9回公開講座「物忘れの心理学」を開催しました
今年度【BiViキャン公開講座】は、昨年に引き続き、藤枝市「生きがい創出事業」の受託事業として開催しています
12月11日(土)BiViキャン公開講座は、静岡産業大学経営学部 漁田(いさりだ)俊子教授を講師に「物忘れの心理学」を開催しました。
歳を重ねるにつれ、自宅で2階に上がって「あれっ、何を取りに来たんだったかな」とか、テレビを見ながら「この俳優、知っているのに名前が出てこない」などの経験をもち、また、それらが多くなってきていると感ずる方が多数おります。なぜ、このようなことが起こるのか。体験テストなども行いながらその記憶のメカニズムや、加齢と共に衰える記憶、衰えない記憶などについて講演し、53名の参加者が熱心に耳を傾けました。
講師 静岡産業大学経営学部
漁田(いさりだ)俊子 教授
以下は、講演の一部です。
- 記憶は、大脳に仕舞われる「宣言記憶」と小脳に仕舞われる「手続き記憶」(自転車に乗れる、泳げるなどの運動系のもの)の二つに分類される。さらに、宣言記憶は、「エピソード記憶」(個人が経験した思い出や事物の記憶)と「意味記憶」(客観的真理や一般的知識)に分類される。
- エピソード記憶は、文脈(覚えた時にあったTPO)と一緒に符号化されるので、思い出すときは、TPOを手掛かりに思い出す。一方、意味記憶は、自分の住所や電話番号のようにTPO無しで思い出せる。思い出を知識にするのが学問である。
- 匂いや音も重要で、それらを含め何かをしながら記憶される「作動記憶」は年齢とともに衰える。しかし、待ち合わせの約束や薬を飲むなどの「展望記憶」(未来の記憶)は年配者の方が得意といえる。
- 数字を覚えるような直接記憶範囲は、7±2といわれている。実際、電話番号や郵便番号は7桁となっている。
- 物忘れを防ぐには、メモを取る、物に紐をつけるなどがあるが、諦めも必要か。
参加者からは次の言葉が寄せられました。
- 加齢だからとあきらめることなく、自分らしく生きていくことを学んだ。
- 身近なことが具体例で示されて分かり易く、また、全員での自己分析テストや笑いもあり、参加型の講話は素晴らしいと感じた。
- 物忘れが多くなり心配していたが、講座を聞いて励まされた。また、脳を刺激し続けることが大事であると学んだ。
- 同居している高齢の母に今後起こるかもしれない事態を教わり、これから気にかけていくことを知るとともに、覚悟ができた。