バレーボールと排球
※職位や内容は投稿時のものです
2022年6月15日更新
スポーツ、とりわけ球技に類する種目には日本語で綴った和名というものがある。〇球というものであるが、〇には様々な漢字が当てられ、そのスポーツを的確に表現している。その成り立ちを紐解くと諸説あるが、今回はいくつかのグループに大別して考えてみる1)。
例えば、競技場所(フィールド・コート)を表現したものには、野原のような広い場所で行う野球(やきゅう・ベースボール)、芝の生えた庭のような場所で行う庭球(ていきゅう・テニス)、テーブルのような卓の上で行う卓球(たっきゅう・テーブルテニス)、氷の上で行う氷球(ひょうきゅう・アイスホッケー)、水の中で行う水球(すいきゅう・ウォーターポロ)などがある。
動作を表したものには、ボールを打つ動作で打球(だきゅう・ゴルフ)、ボールを避ける動作で避球(ひきゅう・ドッジボール)、ボールを蹴る動作で蹴球(しゅうきゅう・サッカー)、ボールを送る動作で送球(そうきゅう・ハンドボール)、ボールを突く動作で撞球(どうきゅう・ビリヤード)、ボールを投げる動作で投球(とうきゅう・ボーリング)、相手と戦う様で闘球(とうきゅう・ラグビー)などがある。
また、施設や道具を表わしたものには、身につける防具を表現した鎧球(がいきゅう・アメリカンフットボール)、ゴールの形を表現した門球(もんきゅう・ゲートボール)、籠球(ろうきゅう・バスケットボール)、ベースを表した塁球(るいきゅう・ソフトボール)、飛ばす羽を表した羽球(うきゅう・バドミントン)、手に持つ道具を表現した杖球(じょうきゅう・ホッケー)などがある。
しかし、メジャースポーツといわれるバレーボールは排球(はいきゅう)と呼ばれているが、どこに当てはめたら良いか迷う。この「排」という文字とバレーボールの競技イメージとが直結しないからである。「排」には、「排除する」などで使われるように、「押しやる」という意味があり、オーバーハンドパスでボールを押し出す動作がそのようであるという説がある。また、ボールを自分のコートから相手コートに「排除する」という意味で使われたという説もある。が、いずれも後付けのような気がしてならない。私だったら、バレーボールは「ボールを繋ぐ」という意味で「繋球」(けいきゅう)と名付け、動作を表現する分類に入れて、スッキリとするのだが...
バレーボールは中国語標記でも「排球」と表示する。中国名と和名が同じ種目は「水球」と「排球」だけである。したがって、この「排」という漢字にはまだ深い意味がありそうである。そこで調べてみると、「排」には「列」という意味がある。中国語では「1列」、「2列」を「1排」、「2排」と数えている。「列」とバレーボールとの関係には歴史を遡る必要がありそうだ。
バレーボールは1895年、William G Morganによって「ミントネット」という名称で開発された。翌年「バレーボール」と改称し、1908年、日本に伝来した。当時は1チームの人数制限がなく、ネットを挟んで10人から20人のプレーヤーがコートに入っていた2)。写真を見ると多くの選手がコート内で隊列を成して並んでいるのがわかるだろう。そう、この「隊列」を見て、「排球」という概念が生まれたのだろう。そう考えると納得できるのは私だけだろうか。「排球」の由来には諸説あるが、私はこの「隊列」説を最有力説として「押して」いきたい。
スポーツ、とりわけ球技に類する種目には日本語で綴った和名というものがある。〇球というものであるが、〇には様々な漢字が当てられ、そのスポーツを的確に表現している。その成り立ちを紐解くと諸説あるが、今回はいくつかのグループに大別して考えてみる1)。
例えば、競技場所(フィールド・コート)を表現したものには、野原のような広い場所で行う野球(やきゅう・ベースボール)、芝の生えた庭のような場所で行う庭球(ていきゅう・テニス)、テーブルのような卓の上で行う卓球(たっきゅう・テーブルテニス)、氷の上で行う氷球(ひょうきゅう・アイスホッケー)、水の中で行う水球(すいきゅう・ウォーターポロ)などがある。
動作を表したものには、ボールを打つ動作で打球(だきゅう・ゴルフ)、ボールを避ける動作で避球(ひきゅう・ドッジボール)、ボールを蹴る動作で蹴球(しゅうきゅう・サッカー)、ボールを送る動作で送球(そうきゅう・ハンドボール)、ボールを突く動作で撞球(どうきゅう・ビリヤード)、ボールを投げる動作で投球(とうきゅう・ボーリング)、相手と戦う様で闘球(とうきゅう・ラグビー)などがある。
また、施設や道具を表わしたものには、身につける防具を表現した鎧球(がいきゅう・アメリカンフットボール)、ゴールの形を表現した門球(もんきゅう・ゲートボール)、籠球(ろうきゅう・バスケットボール)、ベースを表した塁球(るいきゅう・ソフトボール)、飛ばす羽を表した羽球(うきゅう・バドミントン)、手に持つ道具を表現した杖球(じょうきゅう・ホッケー)などがある。
しかし、メジャースポーツといわれるバレーボールは排球(はいきゅう)と呼ばれているが、どこに当てはめたら良いか迷う。この「排」という文字とバレーボールの競技イメージとが直結しないからである。「排」には、「排除する」などで使われるように、「押しやる」という意味があり、オーバーハンドパスでボールを押し出す動作がそのようであるという説がある。また、ボールを自分のコートから相手コートに「排除する」という意味で使われたという説もある。が、いずれも後付けのような気がしてならない。私だったら、バレーボールは「ボールを繋ぐ」という意味で「繋球」(けいきゅう)と名付け、動作を表現する分類に入れて、スッキリとするのだが...
バレーボールは中国語標記でも「排球」と表示する。中国名と和名が同じ種目は「水球」と「排球」だけである。したがって、この「排」という漢字にはまだ深い意味がありそうである。そこで調べてみると、「排」には「列」という意味がある。中国語では「1列」、「2列」を「1排」、「2排」と数えている。「列」とバレーボールとの関係には歴史を遡る必要がありそうだ。
バレーボールは1895年、William G Morganによって「ミントネット」という名称で開発された。翌年「バレーボール」と改称し、1908年、日本に伝来した。当時は1チームの人数制限がなく、ネットを挟んで10人から20人のプレーヤーがコートに入っていた2)。写真を見ると多くの選手がコート内で隊列を成して並んでいるのがわかるだろう。そう、この「隊列」を見て、「排球」という概念が生まれたのだろう。そう考えると納得できるのは私だけだろうか。「排球」の由来には諸説あるが、私はこの「隊列」説を最有力説として「押して」いきたい。
初期の頃のYMCA内でのゲームの様子2)
各コート10人を超える数のプレーヤー2)
引用・参考文献
1)日本語の漢字表現による球技名称と語源による分類
https://dragon-sassa.com/2018/07/22/post-2309/#link-table 2022.5.10
2)Volley chronicle バレーボール年代記 日本バレーボール学会編 日本文化出版2017
1)日本語の漢字表現による球技名称と語源による分類
https://dragon-sassa.com/2018/07/22/post-2309/#link-table 2022.5.10
2)Volley chronicle バレーボール年代記 日本バレーボール学会編 日本文化出版2017
関連リンク
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