Earth is my home.
"Earth is my home."
スポーツ科学部 教授・教職センター長 松永由弥子
先日、磐田市立竜洋中学校にお邪魔し、25名の3年生に対して、SDGsに関する50分の講義を行ってきました。竜洋中学校の3年生の皆さんは「未来を切り拓く心豊かな生徒の育成~持続可能な社会の担い手を育む~」を教育目標とした総合的な学習の時間において、SDGsに関する探求学習を進められています。具体的には、SDGsの17の目標を調査し、社会のためにまず自分たちが出来る事を考え、さらに少しずつ行動しようとするために、実際に行われている様々な取組を探究している真っ最中でした。
講義の前半では、本学のSDGsへの取組を紹介しました。これらは本学のホームページに掲載されていますが、経営学部における実学教育やスポーツ科学部におけるSDGs目標達成に貢献するスポーツからの学びを紹介しました。また同時に、大学は「学術の中心として、高い教養と専門的能力を培うとともに、深く真理を探究して新たな知見を創造し、これらの成果を広く社会に提供することにより、社会の発展に寄与するものとする」という役割があることを伝えました。本学でも公開講座が本年9月に開かれました。
このような大学の社会的役割に基づいて、講義の後半では、中学生の皆さんのSDGsの理解が深まるよう、「SDGs」の「S」に注目して、SDGs達成によって持続可能となるべき最たるものは何かについて、私の考察を紹介しました。SDGsの「S」はsustainable=持続可能な、という意味を示します。変化の激しい世の中であっても存続してほしいものはいろいろあるでしょうが、何よりもまず、ずっと存在してほしいものは、人間が生きるための土台、人類の故郷である「地球」です。地球から離れた経験を持つ宇宙飛行士の話によればⅠ 、地球は宇宙の漆黒のような闇に青く美しく光る宇宙船地球号であり、地球でしか人間は生きられないと感じ、この地球は偶然の産物でなく、きっと高次元の科学者によって創られたものだろうと想像するのだそうです。最新の研究では今から138億年も前に宇宙が誕生し、それから92億年後すなわち今から46億年前に地球が誕生、その時からずっと地球は自転し、太陽の回りを公転し続けています。最初は高温でドロドロな表面だった地球に、やがて長い歴史の中で、水、酸素、大気圏、オゾン層、磁場等ができ、様々な生き物が誕生する中で、人類はようやく今からたった20万年前に誕生しました。それは「もし地球の46億年の歴史を1年間におきかえて考えると、人類誕生は12月31日の午後11時37分」Ⅱにすぎないそうです。その人類は、今から2000年前に3億人程度でしたが、500年前には約5億人、100年前には15億人、50年前には36億人、現在では何と79億人とほんのわずかな期間に急増しています。そして人間が増え、同時に人工物が増えた結果「私たちの健康や社会の土台である地球や自然は、ボロボロになって崩れる寸前というイメージ」Ⅲに陥っているのです。講義の最後には、私達人類存在のためになくてはならない、本当にかけがえのない地球の今は、いつ壊れてもおかしくない瀕死の状況にあることを十分理解して、SDGsの17の目標に取り組んでほしいとのメッセージを伝えました。
普段の平穏な日常も、ちょっと視点を変えたり、情報を整理して考えたりすると、私たちが何をすべきか、当たり前の日常を続けるために何を努力すべきか、見えて来る時があります。そのような研究や考察の成果を、今後も発信し続けたいと思います。
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Ⅰ立花隆『宇宙からの帰還-新版』中公文庫、2020年改版発行を参考
Ⅱ田端萌子&JAMSTEC「地球46億年の歴史と生命進化のストーリー」https://www.jamstec.go.jp/sp2/column/04/、2021年11月26日最終アクセス
Ⅲ渡辺知保「危機と人間:生態系の「特殊な一員」として、われわれはどのような「予測」を開発していくべきか」田中太郎編、月刊『科学』2021年11月号、1027頁
スポーツ科学部 教授・教職センター長 松永由弥子
先日、磐田市立竜洋中学校にお邪魔し、25名の3年生に対して、SDGsに関する50分の講義を行ってきました。竜洋中学校の3年生の皆さんは「未来を切り拓く心豊かな生徒の育成~持続可能な社会の担い手を育む~」を教育目標とした総合的な学習の時間において、SDGsに関する探求学習を進められています。具体的には、SDGsの17の目標を調査し、社会のためにまず自分たちが出来る事を考え、さらに少しずつ行動しようとするために、実際に行われている様々な取組を探究している真っ最中でした。
講義の前半では、本学のSDGsへの取組を紹介しました。これらは本学のホームページに掲載されていますが、経営学部における実学教育やスポーツ科学部におけるSDGs目標達成に貢献するスポーツからの学びを紹介しました。また同時に、大学は「学術の中心として、高い教養と専門的能力を培うとともに、深く真理を探究して新たな知見を創造し、これらの成果を広く社会に提供することにより、社会の発展に寄与するものとする」という役割があることを伝えました。本学でも公開講座が本年9月に開かれました。
このような大学の社会的役割に基づいて、講義の後半では、中学生の皆さんのSDGsの理解が深まるよう、「SDGs」の「S」に注目して、SDGs達成によって持続可能となるべき最たるものは何かについて、私の考察を紹介しました。SDGsの「S」はsustainable=持続可能な、という意味を示します。変化の激しい世の中であっても存続してほしいものはいろいろあるでしょうが、何よりもまず、ずっと存在してほしいものは、人間が生きるための土台、人類の故郷である「地球」です。地球から離れた経験を持つ宇宙飛行士の話によればⅠ 、地球は宇宙の漆黒のような闇に青く美しく光る宇宙船地球号であり、地球でしか人間は生きられないと感じ、この地球は偶然の産物でなく、きっと高次元の科学者によって創られたものだろうと想像するのだそうです。最新の研究では今から138億年も前に宇宙が誕生し、それから92億年後すなわち今から46億年前に地球が誕生、その時からずっと地球は自転し、太陽の回りを公転し続けています。最初は高温でドロドロな表面だった地球に、やがて長い歴史の中で、水、酸素、大気圏、オゾン層、磁場等ができ、様々な生き物が誕生する中で、人類はようやく今からたった20万年前に誕生しました。それは「もし地球の46億年の歴史を1年間におきかえて考えると、人類誕生は12月31日の午後11時37分」Ⅱにすぎないそうです。その人類は、今から2000年前に3億人程度でしたが、500年前には約5億人、100年前には15億人、50年前には36億人、現在では何と79億人とほんのわずかな期間に急増しています。そして人間が増え、同時に人工物が増えた結果「私たちの健康や社会の土台である地球や自然は、ボロボロになって崩れる寸前というイメージ」Ⅲに陥っているのです。講義の最後には、私達人類存在のためになくてはならない、本当にかけがえのない地球の今は、いつ壊れてもおかしくない瀕死の状況にあることを十分理解して、SDGsの17の目標に取り組んでほしいとのメッセージを伝えました。
普段の平穏な日常も、ちょっと視点を変えたり、情報を整理して考えたりすると、私たちが何をすべきか、当たり前の日常を続けるために何を努力すべきか、見えて来る時があります。そのような研究や考察の成果を、今後も発信し続けたいと思います。
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Ⅰ立花隆『宇宙からの帰還-新版』中公文庫、2020年改版発行を参考
Ⅱ田端萌子&JAMSTEC「地球46億年の歴史と生命進化のストーリー」https://www.jamstec.go.jp/sp2/column/04/、2021年11月26日最終アクセス
Ⅲ渡辺知保「危機と人間:生態系の「特殊な一員」として、われわれはどのような「予測」を開発していくべきか」田中太郎編、月刊『科学』2021年11月号、1027頁