令和5年度卒業式
学長式辞
静岡産業大学の経営学部での学士課程を修了し、本日、晴れて卒業式を迎えられる434名の皆さん、まことにおめでとうございます。静岡産業大学の教職員を代表して、心からお祝いを申し上げます。今日まで、本日卒業するお一人お一人を、支え励ましてこられたご家族の皆様もさぞやお喜びのことと思います。心からお祝いを申し上げます。
また、年度末のお忙しい中にもかかわらず、ご来賓としてご臨席いただいています、藤枝市長北村正平様、磐田市長草地博昭様、藤枝市商工会議所会頭山田寿久様、磐田市商工会議所会頭鈴木裕司様、静岡学園中学校・高等学校長鈴木啓之様をはじめ、多くのご来賓の方々のご臨席のもと、入学式を開催することができますことを、静岡産業大学を代表して、大変嬉しく思い感謝致します。
静岡産業大学は、1994年に開学し、これまでに、卒業生の数は、1万1千人を超えています。多くの先輩たちが、静岡県内や全国・世界で、社会の中心となって活躍しています。
皆さんが静岡産業大学に入学した2020年4月は、新型コロナウイルスによる感染拡大の渦中にあり、入学式は中止、授業の開始も5月7日でした。キャンパスへの立ち入りが禁止され、授業もオンラインで始まりました。コロナ発生から2年間ほど、教員と学生達がキャンパスに集い、一つの空間でコミュニケーションしながらの授業、昼食をとりながらのおしゃべり、クラブやサークル活動も十分できない状態が続きました。学生たちは、自分の学習に適したところで、誰にも邪魔されず、それぞれのペースで勉強することを経験しました。
3年次、4年次には、新型コロナウイルスへの対応方法の研究が進み、多くの授業をコロナ前の対面授業に戻すことができ、キャンパスに学生たちが戻り、ゼミでの地域活動、海外研修、インターンシップ、クラブやサークル活動も盛んに行うことができました。
人間は、新しい状況や環境に対する適応力の高い生き物です。皆さんは、先端デジタル機器を活用した先端的な学習方法、活動の仕方を、学生時代にマスターしたのではないでしょうか。これからも起こるであろう想定外の変化や出来事に、的確に対応する力を身に付けることができたと思います。
さて、この4年間には、コロナ禍の他にも、これからの社会経済やくらしの基軸となる大きな変化がありました。日本における急激な人口減少、人工知能の急激な進化、地球規模の温暖化などです。
日本は、急激な人口減少段階に入っています。大学4年生と同年代の人口は126万人ですが、高校3年生の人口は113万人です。4年間で、13万人も少なくなりました。若い働き手が急激に少なくなる社会構造の中にあって、皆さんは、社会に出て働く中で、個人が伸び伸びと自由に多様な幸福を追求できる社会、人生における個人の自由度が広がり、肯定される社会をつくる主役になることが期待されています。
生成AIという言葉を最近よく聞くと思います。生成AIとは、「様々なコンテンツを生成する学習能力がある人工知能」のことです。チャットGPTが誕生してまだ1年と少しが経っているだけですが、世界中で多くの人が使うようになっています。生成AIが注目されるのは、質問に対する精度の高い回答、コンテンツ生成のスピード、使いやすさです。条件を入力すると、文章、論文、プログラム、画像を作ってくれます。日進月歩を続ける生成AIは、かつて、蒸気機関、飛行機、コンピュータ、インターネットが世界を変えた以上のインパクトを仕事や社会に及ぼします。さまざまな質問を即座に回答し、文字数の多い文章を要約し、画像の分析もできる生成AIを使いこなすことが当たり前の企業で働くようになります。皆さんには、生成AIをビジネスの道具として使いこなし、人間にしかできない革新的で創造的な仕事をすることが期待されています。
地球温暖化への対応も待ったなしです。私たちの暮らしている静岡でも、温暖化の影響を確認することができます。私は、昆虫が好きで、夢中で蝶の採集をしていた時期があります。私が高校生の頃には、ナガサキアゲハという蝶は、名前のとおり、九州でしか見られませんでした。しかし、今では、静岡でもふつうにみられる蝶になりしました。気温が上昇しているためです。
季節外れの高温、豪雨、干ばつなど異常気象が増えています。化石燃料を燃やすと温暖化の原因となる二酸化炭素が出ます。エネルギー問題を考えるには、代替えエネルギーの安全性、安定性、手ごろな値段で供給するための経済効率性を考える必要があります。これから、皆さんには、カーボンニュートラルの実現、社会経済の維持と発展、防災など、多くの課題を解決する主役になって活躍してもらわなければなりません。
大きく社会が変化する時代に求められる人材は、「ありたい未来を構想」し、「自らの手で実現」するため、必要なスキルを自ら探して身に着けることができる人材です。問題発見力、情報収集力、的確な決定力、革新性・客観性・柔軟性を持った人材です。
静岡産業大学の教育の理念には、「豊かな教養、高潔な倫理観、人間愛、社会に対する広い貢献意識を備えた職業人、社会のリーダーの育成に努める」とあります。皆さんは、大学の4年間で、大学の理念に掲げた力を身に着けてきたと思います。卒業後も、この力をさらに伸ばすため、常に自分を磨いていくようにしてください。
さて、卒業式にあたり、皆さんにことわざを紹介したいと思います。私が座右の銘にしていることわざです。
それは「艱難汝を玉にす」という言葉です。
艱難の「艱」という漢字は、「容易でない、難しい、苦しむ」という意味です。艱難の「難」は「たやすく処理できない、安楽に進めない」という意味です。「艱難汝を玉にす」は、「人は困難に直面し、苦労を乗り越えることによって、人格が磨かれ、立派な人物になるということ」「逆境は人を賢くする」という意味です。
「艱難汝を玉にす」は、私が中学校を卒業するとき、先生から頂きました。中学校卒業したときは、このことわざの意味が解りませんでしたが、仕事をしていく中で、難しいことに直面したとき、この言葉を思い出し、安きに流される行動はやめようと思いました。良い結果が得られたことばかりではありませんでしたが、難しいほうを選んだ時のほうが得るものが大きかったと思います。
皆さんも、これから、多くの困難に直面すると思います。これまでに学んだこと、身につけたことを最大限活かして、問われた課題に対して、自分で考え、解決策を創り、世に提案、提示するようにしてください。
また、これから社会人として働く中では、「想像力」を大切にする人になってもらいたいと思います。考え方や価値観が全く同じという人はいません。異なる者同士が円滑にコミュニケーションを図るには、相手の気持ちや前提を想像し補う必要があります。勤めるようになって、クライアントとの交渉は、相手の立場や関心ごと、ニーズを想像したうえで行うことが必要です。想像力が乏しいと、視野の狭い人、自分勝手な人と受け取られることも少なくありません。さまざまな分野に関心をもつ想像力の豊かな人になるよう常に自分を鍛え続けてください。
最後に、時間は皆に平等に与えられています。無駄に使うのも、有益なことに使うのも自由です。皆さんの進む道は、それぞれ異なりますが、これまで育てていただいた家族を大切にし、社会から、「あなたがいてくれてよかった」を感謝されるような人になってください。自分と異なる価値観を持つ人の考え方を想像する繊細な感性をもって、自由なものの見方ができる社会人として、羽ばたいていかれることを、心から期待して、式辞といたします。
2024年(令和6年)3月13日静岡産業大学 学長 堀川知廣
また、年度末のお忙しい中にもかかわらず、ご来賓としてご臨席いただいています、藤枝市長北村正平様、磐田市長草地博昭様、藤枝市商工会議所会頭山田寿久様、磐田市商工会議所会頭鈴木裕司様、静岡学園中学校・高等学校長鈴木啓之様をはじめ、多くのご来賓の方々のご臨席のもと、入学式を開催することができますことを、静岡産業大学を代表して、大変嬉しく思い感謝致します。
静岡産業大学は、1994年に開学し、これまでに、卒業生の数は、1万1千人を超えています。多くの先輩たちが、静岡県内や全国・世界で、社会の中心となって活躍しています。
皆さんが静岡産業大学に入学した2020年4月は、新型コロナウイルスによる感染拡大の渦中にあり、入学式は中止、授業の開始も5月7日でした。キャンパスへの立ち入りが禁止され、授業もオンラインで始まりました。コロナ発生から2年間ほど、教員と学生達がキャンパスに集い、一つの空間でコミュニケーションしながらの授業、昼食をとりながらのおしゃべり、クラブやサークル活動も十分できない状態が続きました。学生たちは、自分の学習に適したところで、誰にも邪魔されず、それぞれのペースで勉強することを経験しました。
3年次、4年次には、新型コロナウイルスへの対応方法の研究が進み、多くの授業をコロナ前の対面授業に戻すことができ、キャンパスに学生たちが戻り、ゼミでの地域活動、海外研修、インターンシップ、クラブやサークル活動も盛んに行うことができました。
人間は、新しい状況や環境に対する適応力の高い生き物です。皆さんは、先端デジタル機器を活用した先端的な学習方法、活動の仕方を、学生時代にマスターしたのではないでしょうか。これからも起こるであろう想定外の変化や出来事に、的確に対応する力を身に付けることができたと思います。
さて、この4年間には、コロナ禍の他にも、これからの社会経済やくらしの基軸となる大きな変化がありました。日本における急激な人口減少、人工知能の急激な進化、地球規模の温暖化などです。
日本は、急激な人口減少段階に入っています。大学4年生と同年代の人口は126万人ですが、高校3年生の人口は113万人です。4年間で、13万人も少なくなりました。若い働き手が急激に少なくなる社会構造の中にあって、皆さんは、社会に出て働く中で、個人が伸び伸びと自由に多様な幸福を追求できる社会、人生における個人の自由度が広がり、肯定される社会をつくる主役になることが期待されています。
生成AIという言葉を最近よく聞くと思います。生成AIとは、「様々なコンテンツを生成する学習能力がある人工知能」のことです。チャットGPTが誕生してまだ1年と少しが経っているだけですが、世界中で多くの人が使うようになっています。生成AIが注目されるのは、質問に対する精度の高い回答、コンテンツ生成のスピード、使いやすさです。条件を入力すると、文章、論文、プログラム、画像を作ってくれます。日進月歩を続ける生成AIは、かつて、蒸気機関、飛行機、コンピュータ、インターネットが世界を変えた以上のインパクトを仕事や社会に及ぼします。さまざまな質問を即座に回答し、文字数の多い文章を要約し、画像の分析もできる生成AIを使いこなすことが当たり前の企業で働くようになります。皆さんには、生成AIをビジネスの道具として使いこなし、人間にしかできない革新的で創造的な仕事をすることが期待されています。
地球温暖化への対応も待ったなしです。私たちの暮らしている静岡でも、温暖化の影響を確認することができます。私は、昆虫が好きで、夢中で蝶の採集をしていた時期があります。私が高校生の頃には、ナガサキアゲハという蝶は、名前のとおり、九州でしか見られませんでした。しかし、今では、静岡でもふつうにみられる蝶になりしました。気温が上昇しているためです。
季節外れの高温、豪雨、干ばつなど異常気象が増えています。化石燃料を燃やすと温暖化の原因となる二酸化炭素が出ます。エネルギー問題を考えるには、代替えエネルギーの安全性、安定性、手ごろな値段で供給するための経済効率性を考える必要があります。これから、皆さんには、カーボンニュートラルの実現、社会経済の維持と発展、防災など、多くの課題を解決する主役になって活躍してもらわなければなりません。
大きく社会が変化する時代に求められる人材は、「ありたい未来を構想」し、「自らの手で実現」するため、必要なスキルを自ら探して身に着けることができる人材です。問題発見力、情報収集力、的確な決定力、革新性・客観性・柔軟性を持った人材です。
静岡産業大学の教育の理念には、「豊かな教養、高潔な倫理観、人間愛、社会に対する広い貢献意識を備えた職業人、社会のリーダーの育成に努める」とあります。皆さんは、大学の4年間で、大学の理念に掲げた力を身に着けてきたと思います。卒業後も、この力をさらに伸ばすため、常に自分を磨いていくようにしてください。
さて、卒業式にあたり、皆さんにことわざを紹介したいと思います。私が座右の銘にしていることわざです。
それは「艱難汝を玉にす」という言葉です。
艱難の「艱」という漢字は、「容易でない、難しい、苦しむ」という意味です。艱難の「難」は「たやすく処理できない、安楽に進めない」という意味です。「艱難汝を玉にす」は、「人は困難に直面し、苦労を乗り越えることによって、人格が磨かれ、立派な人物になるということ」「逆境は人を賢くする」という意味です。
「艱難汝を玉にす」は、私が中学校を卒業するとき、先生から頂きました。中学校卒業したときは、このことわざの意味が解りませんでしたが、仕事をしていく中で、難しいことに直面したとき、この言葉を思い出し、安きに流される行動はやめようと思いました。良い結果が得られたことばかりではありませんでしたが、難しいほうを選んだ時のほうが得るものが大きかったと思います。
皆さんも、これから、多くの困難に直面すると思います。これまでに学んだこと、身につけたことを最大限活かして、問われた課題に対して、自分で考え、解決策を創り、世に提案、提示するようにしてください。
また、これから社会人として働く中では、「想像力」を大切にする人になってもらいたいと思います。考え方や価値観が全く同じという人はいません。異なる者同士が円滑にコミュニケーションを図るには、相手の気持ちや前提を想像し補う必要があります。勤めるようになって、クライアントとの交渉は、相手の立場や関心ごと、ニーズを想像したうえで行うことが必要です。想像力が乏しいと、視野の狭い人、自分勝手な人と受け取られることも少なくありません。さまざまな分野に関心をもつ想像力の豊かな人になるよう常に自分を鍛え続けてください。
最後に、時間は皆に平等に与えられています。無駄に使うのも、有益なことに使うのも自由です。皆さんの進む道は、それぞれ異なりますが、これまで育てていただいた家族を大切にし、社会から、「あなたがいてくれてよかった」を感謝されるような人になってください。自分と異なる価値観を持つ人の考え方を想像する繊細な感性をもって、自由なものの見方ができる社会人として、羽ばたいていかれることを、心から期待して、式辞といたします。
2024年(令和6年)3月13日静岡産業大学 学長 堀川知廣
卒業式の様子
司会(左)加藤進太朗さん
(右)奥村結子さん
国歌独唱(ソプラノ歌手 西尾麻衣子様)
学位記授与
総代 学長賞
(左)加茂稜大さん (右)川口颯斗さん
学部長賞
(左)森下理子さん (右)武田有華さん
特別賞
(右から)イシイエドアルドさん 小蔦航佑さん
五條陽さん 臼井マリアさん 熊王利奈さん
送辞 在学生代表(スポーツ科学部 轟大志)
答辞 卒業生代表(武田有華さん)
会場受付周辺の様子
藤枝キャンパス 卒業記念パーティー
磐田キャンパス 卒業記念パーティー