通信29「スポーツと芸術と香りについて」
非常勤講師 山下はるな
大学3年生、トランポリン競技の日本女子代表になって2年目の6月、ワールドカップ中国大会に参戦することが決まった。初めて行く中国遠征に私の心は、期待と不安が入り混じっていた。
出国の前日、私は静岡産業大学客員准教授の中村あづさAnellsさんと株式会社リラインスを訪れ、自律神経の測定を初めて行った。緊張がパフォーマンスに影響することを、試合や助成金を得るためのプレゼンテーションなどで身を持って感じていた私は、緊張を数値化、見える化するソフトウェアにとても興味を持った。ロンドンオリンピック出場を目標に練習に取り組んでいたため、緊張を呼吸トレーニングでコントロールできるというのも魅力であった。
実際に使用してみると、指に付けたセンサーで心拍数や交感神経、副交感神経のバランスがグラフに表示され、色分けされていた。初めて使用する機械のため緊張状態だったが、しばらくするとそれも徐々に安定していった。株式会社リラインス代表取締役の利重義明さんも、その測定に帯同していただいた。
緊張を見える化し、呼吸法によって自律神経をコントロールすることは、私にとって新しい発見であり、身体のバランスも整うような感覚を持った。また、中村さんにブレンドしていただいた精油を嗅ぎながら呼吸法を実践する方が、数値を安定させるのが早いという結果を得た。不慣れな場所、対人関係という設定は、遠征先、試合会場と類似する環境であったため、実践練習や試合に使用できると思った。
五感のうち嗅覚を除く4つは、左脳にて情報処理をされ大脳辺緑系へ到達する、一方嗅覚だけは直接伝達されると言われている。大脳辺緑系とは感情を司る脳として知られている。
呼吸トレーニングを行いながらブレンドの精油を嗅ぎ脳に直接刺激を送ることで、結果に差が出たと考えられる。実際に香りなし、ありの時の呼吸トレーニングでは、香りありの方がリラックスしていくような感覚だった。
香りが自身のパフォーマンスに影響するという結果を得て、中村さんにHARUNA専用の香りをブレンドしていただいた。ONとOFFの2パターンを作成していただき、OFFの香りは、試合前のリラックスしたい時、睡眠前やお風呂などタオルや浴槽に1~3滴垂らすだけで良いとアドバイスを受け、ONの香りは試合前に持っているタオルに垂らし使用した。
7月のワールドカップ中国大会の結果は、第一、第二演技の合計で自己ベスト更新。同じ年の6月の国内選考会で出した合計点より、1.035点も上回っていた。トランポリン競技の特性として、1か月で1点、点数を上げるということは大変難しい。難度点を上げるということも可能だが、失敗するリスクを伴う。よって、今回は同じ難度構成のまま臨んだ。
極度の緊張に陥ることもなく、香りによってON、OFFのコンディショニングがされていたことがこの結果に至ったと考えられる。試合前のメンタルに、香りがこんなにも影響することは、実際に体験したことでわかった。
おいしい臭いがするとお腹が空いたり、図書館や美術館に居ると心が穏やかになるのは、その場所特有の香りが影響しているからかもしれない。人によって落ち着く場所は様々である。最近大型商業施設では、特有の臭いを自社ブランドで作成しているところもある。購買意欲が高められたり、ゆったりと買い物できたり、サンプルを試したりとよく考えてみれば香りは私生活の中で自然と取り入れられていることに気付く。
そのことを人は、日常生活で認知こそしていないにせよ、香りが直接脳を刺激していることが言える。
緊張した場面で例えば、大事な選考がかかった面接やプレゼンテーション、私の場合は試合などでパフォーマンスを十分に発揮したいと考える際、香りを使用するのも新たな作戦であることがわかった。
科学的な視点から今後スポーツを検討していくことは、かなり重要である。ましては、メンタルはその人の心に必ずあるものであり、何かしら影響を及ぼしている。体調がすぐれない時に、良い成果を出すことは大変難しい。常日頃からの体調管理はもちろんのことだが、ONとOFFを香りによって分けることも有効である。
最近では、アロマオイルやアロマキャンドルなどオシャレで可愛い小物も人気が高い。このような傾向から、リラックスしたい、落ち着きたいと思う人が多いように感じる。嗅覚は、味覚より10,000倍も敏感であるということも覚えておきたい。
出国の前日にこのような体験をし、試合で香りを使った実践をした。短期間のうちにいろいろなことを実践する、というのは試合前のルーティーンなど気にする選手には考えがたいかもしれないが、実際私も挑戦であった。今回は、結果が出たものの影響力の強い五感の中のしかも嗅覚に働きかけることはリスクでもあったが、新たな可能性を見出すことができた。人によって心地良く感じる香りは違うと思う。精油の知識をもった専門の方にサポートしていただけて本当に良かった。
大学3年生、トランポリン競技の日本女子代表になって2年目の6月、ワールドカップ中国大会に参戦することが決まった。初めて行く中国遠征に私の心は、期待と不安が入り混じっていた。
出国の前日、私は静岡産業大学客員准教授の中村あづさAnellsさんと株式会社リラインスを訪れ、自律神経の測定を初めて行った。緊張がパフォーマンスに影響することを、試合や助成金を得るためのプレゼンテーションなどで身を持って感じていた私は、緊張を数値化、見える化するソフトウェアにとても興味を持った。ロンドンオリンピック出場を目標に練習に取り組んでいたため、緊張を呼吸トレーニングでコントロールできるというのも魅力であった。
実際に使用してみると、指に付けたセンサーで心拍数や交感神経、副交感神経のバランスがグラフに表示され、色分けされていた。初めて使用する機械のため緊張状態だったが、しばらくするとそれも徐々に安定していった。株式会社リラインス代表取締役の利重義明さんも、その測定に帯同していただいた。
緊張を見える化し、呼吸法によって自律神経をコントロールすることは、私にとって新しい発見であり、身体のバランスも整うような感覚を持った。また、中村さんにブレンドしていただいた精油を嗅ぎながら呼吸法を実践する方が、数値を安定させるのが早いという結果を得た。不慣れな場所、対人関係という設定は、遠征先、試合会場と類似する環境であったため、実践練習や試合に使用できると思った。
五感のうち嗅覚を除く4つは、左脳にて情報処理をされ大脳辺緑系へ到達する、一方嗅覚だけは直接伝達されると言われている。大脳辺緑系とは感情を司る脳として知られている。
呼吸トレーニングを行いながらブレンドの精油を嗅ぎ脳に直接刺激を送ることで、結果に差が出たと考えられる。実際に香りなし、ありの時の呼吸トレーニングでは、香りありの方がリラックスしていくような感覚だった。
香りが自身のパフォーマンスに影響するという結果を得て、中村さんにHARUNA専用の香りをブレンドしていただいた。ONとOFFの2パターンを作成していただき、OFFの香りは、試合前のリラックスしたい時、睡眠前やお風呂などタオルや浴槽に1~3滴垂らすだけで良いとアドバイスを受け、ONの香りは試合前に持っているタオルに垂らし使用した。
7月のワールドカップ中国大会の結果は、第一、第二演技の合計で自己ベスト更新。同じ年の6月の国内選考会で出した合計点より、1.035点も上回っていた。トランポリン競技の特性として、1か月で1点、点数を上げるということは大変難しい。難度点を上げるということも可能だが、失敗するリスクを伴う。よって、今回は同じ難度構成のまま臨んだ。
極度の緊張に陥ることもなく、香りによってON、OFFのコンディショニングがされていたことがこの結果に至ったと考えられる。試合前のメンタルに、香りがこんなにも影響することは、実際に体験したことでわかった。
おいしい臭いがするとお腹が空いたり、図書館や美術館に居ると心が穏やかになるのは、その場所特有の香りが影響しているからかもしれない。人によって落ち着く場所は様々である。最近大型商業施設では、特有の臭いを自社ブランドで作成しているところもある。購買意欲が高められたり、ゆったりと買い物できたり、サンプルを試したりとよく考えてみれば香りは私生活の中で自然と取り入れられていることに気付く。
そのことを人は、日常生活で認知こそしていないにせよ、香りが直接脳を刺激していることが言える。
緊張した場面で例えば、大事な選考がかかった面接やプレゼンテーション、私の場合は試合などでパフォーマンスを十分に発揮したいと考える際、香りを使用するのも新たな作戦であることがわかった。
科学的な視点から今後スポーツを検討していくことは、かなり重要である。ましては、メンタルはその人の心に必ずあるものであり、何かしら影響を及ぼしている。体調がすぐれない時に、良い成果を出すことは大変難しい。常日頃からの体調管理はもちろんのことだが、ONとOFFを香りによって分けることも有効である。
最近では、アロマオイルやアロマキャンドルなどオシャレで可愛い小物も人気が高い。このような傾向から、リラックスしたい、落ち着きたいと思う人が多いように感じる。嗅覚は、味覚より10,000倍も敏感であるということも覚えておきたい。
出国の前日にこのような体験をし、試合で香りを使った実践をした。短期間のうちにいろいろなことを実践する、というのは試合前のルーティーンなど気にする選手には考えがたいかもしれないが、実際私も挑戦であった。今回は、結果が出たものの影響力の強い五感の中のしかも嗅覚に働きかけることはリスクでもあったが、新たな可能性を見出すことができた。人によって心地良く感じる香りは違うと思う。精油の知識をもった専門の方にサポートしていただけて本当に良かった。
参考・引用文献
http://www.le-bain.com/scentair/scent/ 2013.4.22閲覧
http://www.jasminaromatique.co.jp/ 2013.4.22閲覧